2014年11月14日金曜日

イタリア・トリノでの食の祭典 "Salone del Gusto/Terra Madre" レポート③

"Salone del Gusto/Terra Madre"レポート最後となる今回は、
世界生産者会議"Terra Madre"をご報告します。

"Terra Madre"とは、地域の小規模農産物生産を未来へ残していくために、
生産者・料理人・研究者・活動家・若者が一体となる、世界的にも希有な会議です。

今回、いくつかのセッションに参加しましたが、
その中でも特に印象深く、かつしばしば取り上げられていたトピック
"Food Sovereignty"についてご紹介いたします。



"Food Sovereignty"

日本語に訳すと、「食料主権」と呼ばれる概念です。
世界の全ての人々が食料を入手できる環境、
「食の安全保障」を確保するためのアプローチの一つとされています。

例えば、タンザニアのキリマンジャロ山麓に暮らす農家たちが、
ヨーロッパ市場に向けてコーヒー豆を栽培するのではなく、
自分たちが暮らす土地環境にあった農法で、自身の選択により
栽培する作物を選び、供給先を決定できる権利を持つことが、「食料主権」です。

スローフードは、特に海外諸国が自国民のための食料を確保するために
アフリカの農地を買い占め、自国民のための作物を栽培している現状を
「新植民地主義」 と捉え、世界のどのような経済状況にいる人々も
自身が栽培する食料を選ぶ権利を持つべきだ、と訴えています。



先進国の市場のために作物を栽培することは、その農家へ
貴重な現金収入の機会をもたらします。

一方、その作物の価格が公平に決定されなかった場合、
農家たちは自身が食べる訳でもない作物を栽培し、
結局自分たちのお腹を満たすことのできない量の
現金しか得られない、といった状況に陥りかねません。


2050年には90億人に達するとされている、世界の人口。

その全ての人々の「食の安全保障」を確保するために、
私達の日々の食事から、世界を考えることが必要不可欠になり始めています。







 

 

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